世界を濡らす、やまない雨
「杏香ちゃんて、今も佳乃と仲いいの?」
二学期の中間テストが終わって学校全体が高校受験に向けて本格的に動き始めているとき、去年も同じクラスだったクラスメイトの女子が私にそう尋ねた。
私に尋ねる彼女の顔つきが心なしかいつもと違うような気がして。頷いたあとに「何で?」と思わず聞き返してしまう。
すると彼女は周りをきょろきょろと見回したあと、口元に手をあてて私の耳に囁いた。
「これからは佳乃とあんまり仲良くしないほうがいいよ。聞いた話なんだけど、クラスのほぼ全員から避けられてるって」
「え?」
耳を疑った。
どうして佳乃が────?
勉強ができて、優しくて、自分の意見をきちんと言うことができて……
そして、誰に対しても公正なのに。