世界を濡らす、やまない雨
そうしてずっと目を瞑っているうちに、中学三年生の二学期も終わりに近づいていった。
冬休みが目前に迫る頃には、クラスメイトの女子から頻繁に耳にしていた佳乃に関する噂は聞かれなくなっていた。
相変わらず私は廊下で佳乃にすれ違うことはなかったけれど、噂が聞こえてこなくなったので佳乃はもう大丈夫なのだと思っていた。
そんな矢先、私は佳乃に会った。
昼休み、私はクラスメイトの女子と廊下を歩いていてちょうど校舎の二階と三階を結ぶ階段の前に差し掛かっていた。
階段からは同じ学年の生徒達が次々と降りてきていて、昼休みの校舎はいつものように賑わっていた。
階段を行き過ぎようとしたちょうどそのとき、隣を歩いていたクラスメイトが小さな声を上げた。
「杏香ちゃん」
クラスメイトがあたしの名を呼び、三階へと伸びる階段に遠慮がちに視線を向ける。
彼女につられて、階段へと視線を向けると三階へと伸びる階段の踊り場のところに一人の女子生徒が立っていた。