世界を濡らす、やまない雨




助けて────……


助けたい────……


でも、私には……


どっ、どっ、と身体全体が鼓動する。

身体中が震えだしそうで両手の平を握ると、すぐに吹き出してきた汗で手の中がびっしょりになった。


「杏香ちゃん、行こうよ」

クラスメイトの声が私を誘う。


佳乃はまだ、真っ直ぐに私だけを見つめ続けていた。

多分、私だけを信じて。

そのことは、痛いくらいにわかっていたのに。


助けたい。

助けたい。


でも────……

私には助けられない。


口に出せない言葉が、心の中で悲鳴をあげる。


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