世界を濡らす、やまない雨
薄情な自分が嫌になりそうで、私は有里から引き継がれた書類を整理することに全神経を集中する。
少しでも心に隙間を作ると、嫌な考えばかりに支配される。
そんな気がした。
でも結果的にはそれでよかった。
有里から渡された書類は膨大な量があり、全神経を集中させなければ一日で全部に目を通すことは不可能だった。
ようやく終わりが見えて、ほっと一息ついたとき時刻は定時を回っていた。
両手を後ろに組んで伸びをしたとき、私はほとんど片付いた段ボールの底にクリアファイルが一つ入っているのを見つけた。
気になって引っ張り出してみると、そこには白いコピー用紙に包まれた何かが入っていた。
有里が間違えて入れたのだろうか。
気になって、コピー用紙を開いてみる。