世界を濡らす、やまない雨
だって、私はまた人を────、有里を見捨てたのだから。
夜の闇の中、段々と雨脚が強くなる。
あてもなく歩き続けた私は、自分が今どこに立っているのかもよくわからなかった。
辺りには暗い街灯がぽつぽつと立つだけで、通り過ぎる人は誰もいない。
私は暗い世界の中、ただ一人取り残されたような錯覚に襲われた。
誰もいない。
みんないなくなる。
雨が濡らす暗い世界の中で、
私は今ひとりきりだ────……