世界を濡らす、やまない雨
「中学を卒業してからは、その子と交流はあったの?」
「卒業してからは、ないよ」
母が問う言葉の一つ一つがまるで尋問のように思える。
「どうして?」
顔が引き攣りそうになるのを何とか堪えて、母に尋ねる。
すると母は、すっと眉を寄せて声を顰めた。
「さっき買い物に出たときに偶然聞いたのよ。辻井さん、一週間程前に亡くなったんだって」
「え────……?」
その瞬間、手の平に滲んでいた汗がすーっと一気に引いた。
手の汗と同時に私の身体中の血の気も引いていき、意識がぼんやりとし始める。
「有名な私立大学に行ってたみたいなんだけど、ずっと精神的に少し不安定だったらしくて。亡くなる前に、規定量以上の薬を飲んでたらしいって────……」
母が私に何か言っていたけれど、途中からその声は全く耳に入ってこなくなる。