世界を濡らす、やまない雨
私があのとき目を逸らさなければ、佳乃からの年賀状は今年も送られてきただろうか。
癖のない綺麗な字で書かれたメッセージが添えられて……
そう思うと、言いようのない罪悪感と恐ろしさで身体中が震えた。
昔佳乃から送られてきた年賀状を持つ手が、ガクガクと震える。
私は震える手でそのハガキを他のハガキの束の中に挟み込むと、閉じ込めるように机の引き出しの奥深くへと押し込んだ。
だって、あのときは仕方がなかった。
どうしようもできなかった。
後悔しながらも、何とか正当化できる理由を探そうとする自分に吐き気がする。