世界を濡らす、やまない雨




夜の雨の中をあてもなく彷徨い歩いた私は、住所もよくわからない公園の前にいた。


不意に足に痛みを感じて、ふらふらと公園の中に入ってベンチに座る。


靴は水や泥を跳ねて汚れていて、服は水を大量に含んで身体に張り付き重かった。


雨はやむ気配もなく、このままどうしようかと途方にくれる。


戻る場所も、こんなときに頼れる人の顔も全く思い浮かばない。


マンションを出てそろそろ二時間は経つといういうのに、やっぱり怜からの連絡はなかった。


私は一度灰色の空を振り仰ぐと、ベンチの上に仰向けに寝転がった。


強い雨が顔いっぱいに降り注ぎ、もう全てがどうだってよくなる。

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