世界を濡らす、やまない雨
ふと、佳乃のことを思い出した。
佳乃もそうだったのだろうか。
中学を卒業して、高校に行って大学に行って……
そうして大学二年目を迎える年の春、
全てのことがどうでもよくなった────?
だって、世界はこんなにも暗い。
誰もいない真っ暗な闇の中で、ただ降り注いでくるのは強い雨だけ。
佳乃が……
私が……
そこにただ一人で取り残されていることに、誰も気付かない。
どうでもいいのだと、諦める。
だけど本当は、
気付いて欲しい。