世界を濡らす、やまない雨



佳乃も、そうだった────?



胸の奥、記憶の中にいる彼女に問いかける。

私がちゃんと、佳乃を見つけてあげればよかった。



そのとき、ふと優しい声が耳の奥で木霊した。


『自分の気持ち、ちゃんとわかってほしいとき……そのときは、何でも話してよ』


私にそう言ってくれたのは、誰だったか。



彼なら佳乃を……

そして彼女を助けられなかったどうしようもない私を、見つけてくれる────?


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