世界を濡らす、やまない雨
「あ、あの……」
至近距離にある角谷の顔を、戸惑いがちに見つめる。
角谷は真っ直ぐな瞳で数秒私を見つめたあと、強引に私に唇を押し付けた。
そうして、噛み付くように離さない。
角谷の唇は角度を変えて何度も私の唇を吸い、首筋に回された彼の手が私の後ろ髪をかき乱す。
鳴り続けたスマホの着信音がようやく途切れたとき、角谷が熱い息を吐きながら私から唇を離した。
角谷の唇が離れてふぅっと息をつくと、彼が私を抱きしめる。
「もしあいつが道木さんを愛してるなら、俺はその何百倍も道木さんのことを愛してる」
私を抱きしめた角谷が、耳元で囁く。