世界を濡らす、やまない雨
「え……」
角谷を見上げて、大きく目を瞠る。
彼の言葉が信じられなかった。
だって、角谷は高校のときから爽やかでクラスの中でも好感度が高くって……
私なんかの隣に留まるような人じゃない。
彼は私の心に穴を開けて吹き過ぎていくだけの、一陣の風だ。
大きく目を見開いている私を、角谷が優しいけれど少し苦しそうな目をして見つめる。
「あいつのところには、帰さない────」
角谷が囁くように言ったとき、また枕元に置かれた私のスマホが鳴り始めた。