世界を濡らす、やまない雨


角谷は私のスマホを拾いあげて電源を切ると、私の腕を引き、ベッドへ押し倒した。


押し付けられたベッドの上で呆然と角谷を見上げる。


「嫌だったら、拒否して」

角谷がとても切ない目で私を見ながら言った。


「拒否しても、俺は道木さんのこと嫌いになったりしないから」


無言で角谷を見つめていると、唇に彼の優しいキスが落ちてくる。


そのキスは、雨が降り注ぐ私の世界にそっと吹き込んだ温かくて柔らかな春の風のようだった。


胸の奥が優しい痛みで鈍く痛む。


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