世界を濡らす、やまない雨



「道木さん、抱きたい────……」

耳元で、熱い吐息と掠れた声が聞こえる。


無言で小さく頷くと、角谷は私の身体をぎゅっときつく抱きしめてから優しく深いキスをした。


温かい角谷の指先が、唇が身体の線をすっと撫でていく。


角谷が触れたところは、ひとつずつ全部じりじりと熱くなる。


「杏香、愛してる────……」


繋がった瞬間、私の指に指を絡めて強く握りながら、角谷がひどく切ない声で囁いた。


男の人に抱かれるのも、「愛してる」という言葉を囁かれるのも初めてではないのに、頬に熱いものがつたう。


それは行為が終わるまでずっと幾筋も溢れ続けて、いつまで経っても止まらなかった。


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