世界を濡らす、やまない雨
*雨過*
目を覚ましたとき、私は角谷の腕の中にいた。
ふと視線を向けると、角谷はまだ眠っている。
シーツで身体を覆いながらカーテンを開くと、窓から朝日が差し込んでくる。
まだ、薄暗い。
でも、あれほど降っていた雨は嘘みたいにやんでいた。
「道木さん、起きたの?」
振り返ると、角谷が額に手を翳し眩しそうに窓を見つめる。
そうして、今眩しく差し込むものが太陽の光だと気付くと微笑んで私の身体をシーツごと後ろから抱きしめた。
「雨、やんだね」
角谷が私の耳元で囁く。