世界を濡らす、やまない雨
小さく頷くと、角谷は悪戯っぽく笑った。
「だから言ったでしょ。直にやむって」
角谷は私の身体をベッドに引き摺り戻すと、上に覆い重なり唇に、首筋に、鎖骨になぞるようなキスをした。
そして顔を上げると、優しく微笑む。
「俺、道木さんが好きだよ。道木さんの言い方で言うと、君がこれからまた誰かを『見捨てて』しまったとしても……道木さんのこと、愛してる」
突然そんなことを言い出した角谷を驚いた表情で見上げると、彼は私の髪を指で梳くように優しく撫でた。
「道木さんは多分、何でも窮屈に考えすぎ。いつだって自分の身を守りたいのは、道木さんだけじゃない。他の人だってきっと同じだよ」
「角谷、くん……」