世界を濡らす、やまない雨


私と有里は店員に通された席に座ると、三種類あったパスタランチの中からそれぞれ別のものを注文した。

オーダーをとった店員が立ち去ると、私は水の入った透明なグラスを手にとった。


「そういえば杏香さ、来週の土曜日空いてない?」

グラスに口をつけようとすると、有里が思い出したように言った。


「来週の土曜日?空いてるけど」

私はそう答えながら、怜のことを考えた。

彼は何か予定があっただろうか。

考えていると、有里が嬉しそうに微笑んだ。


「来週の土曜日、ユキエ達と合コンするんだ。相手はM商事の人達なんだけど、よかったら杏香もどう?」

「え……」

嫌な誘いだった。

困っていると、有里が顔の前で両手を合わせる。


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