世界を濡らす、やまない雨




土曜日、私は有里から誘われた合コンに出かけた。


「会社の同期とごはんを食べに行く」

そう言うと、怜は私を一瞥して、さほど興味なさそうに「ふぅん」と言った。

怜は私のことを少しも疑っていないようだった。

ジーンズに黒のカットソーという地味な出で立ちで家を出たからかもしれない。


待ち合わせ場所では、有里たちがそれぞれに気合を入れた格好で立っていた。

私みたいにジーンズを履いている子はひとりもいなくて、みんな、ワンピースやスカートを履いている。

彼女たちは一様に、その綺麗な姿を見せびらかすように立っていた。

いつも以上に念入りに化粧をし、それぞれ個々に甘い匂いをさせた彼女たちは、薄化粧とジーンズでやってきた私を見て一瞬目を見開いた。

でも、すぐに口元に笑みを浮かべる。

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