世界を濡らす、やまない雨
「杏香も来たし、行こうか」
有里が私を見てにっこりと笑う。
柔らかい表情を浮かべながらも、有里はその目で私のことを冷ややかに見下していた。
そして有里の傍に立っている他の二人も。
私は彼女たちの冷ややかな目線に気付かないふりをして、微笑んだ。
何も気付いていないふりをして、ただ黙って有里たちのあとに着いて行く。
これで満足でしょう。
私は先を歩く有里の背中に、心の中で問いかけた。
これで、地味な私はますますあなた達の引き立て役になる。
引き立て役のままでいれば、有里は私とこれからもずっと仲のいいふりをしていてくれる。
本当は私のことが嫌いでも。