世界を濡らす、やまない雨
*雨湿*
Ⅰ
昼休み終了間近、オフィスのエレベーターホールは昼食を終えた社員達で込み合っていた。
社員の人数のわりに二台しかないエレベーターは、出勤時間と昼休みにかなり込み合う。
昼休みを利用して必要な備品を買いに行っていた私は、両手に荷物を抱えながらエレベーターの順番を待つ集団に混ざった。
もう少し時間帯をずらしてから戻ってくればよかった、と少しうんざりしていると、上から戻ってきた空っぽのエレベーターがゆっくりとした動きで扉を開けた。
エレベーターの扉が開くと同時に、長い間待たされてやや苛立ち気味の社員たちが前の人を押しながら中へと入っていく。
その人の流れに飲み込まれるように、私も両手に荷物を抱え直しながらエレベーターに乗り込んだ。