世界を濡らす、やまない雨
早くどこかのフロアで止まらないだろうか。
そう思って扉の上のフロア表示に視線を向けたとき、制服のスカートの上から太腿をすっと撫でられるような感触を覚えた。
怖くなって、びくっと肩を震わせる。
体全体に力を入れて緊張していると、エレベーターがチンっと短い音を立てて止まった。
満員のエレベーターから、今度は雪崩のように人が降りていく。
それまでよりもだいぶスペースのできたエレベーターの中、ほっとして首を動かす。
さっき首筋に感じた生温かい息と太腿に触れたものの正体を確かめようとしたけれど、私に触れられるほど近い距離にいる人はいなかった。
私は小さく首を傾げると、自分が降りるフロアのボタンを押すために少しだけ移動した。
扉の横にあるボタンが光ったのを確認すると、私は持っていた荷物を抱えなおした。