世界を濡らす、やまない雨
扉が閉り、密室状態となったエレベーターの中、課長に後ろから抱きしめられた私は動くことも声を出すこともできず、ただ硬直する。
課長の手がするすると下へと伸びていき、私の太腿をゆっくりと撫でた。
それと同時に、首筋に生温かい息がかかる。
その感覚は、さっき満員のエレベーターで感じたものと同じものだった。
恐ろしくて、心臓がドキドキと早鐘を打つ。
抵抗できずにいる私の首筋に、課長のもう片方の手が触れ、それが今度はそろそろと胸元に伸ばされる。
このままではいけない……
「あの……課長……」
私は搾り出すように、喉の奥から掠れた声を出した。
恐怖に震える私の耳元で、課長が囁く。