世界を濡らす、やまない雨
「俺も、一番に愛してるのはお前だよ」
私と怜の距離が縮まり、彼が乱暴に私と唇を重ね合わせる。
舌先で唇を割り、口内に侵入しようと顔の角度を変えた怜の髪が微かに揺れる。
揺れる彼の髪から香ってきた匂いが、私の鼻孔を刺激する。
煙草と……
それから甘い、柑橘系の香水の香り。
怜でも、私でもない。
見知らぬ誰か────。
心にいつまでも染み付きそうな、
嫌な匂いだった。
メニュー