世界を濡らす、やまない雨
Ⅱ
その年の夏は、例年以上に暑かった。
もう九月も終わるのに、まだ制服のブラウスを半袖から長袖に替えるタイミングがつかめない。
そのくらい、
暑かった。
もう夕方に近づいているのに、まだぎらぎらと空に居残り続ける太陽。
ここ何週間も雨が降らない。
高校三年生の秋、私は憂鬱だった。
気温が高いこと、空気に少しも湿り気がないこと……
それらが私の憂鬱な気持ちに拍車をかける。
雨は好きになれない。
けれど、ぎらぎらと照りつける太陽も、
やはり好きにはなれない。