世界を濡らす、やまない雨
唇の端をきゅっと引き上げて意味あり気に笑った怜が、ゆっくりと私に近づいてくる。
怜は私の背中にぴったりと自分の身体を寄せると、後ろから私を抱きしめた。
突然のことに、私の身体がビクリと震える。
震えた私の耳元で、怜が小さく鼻で笑った。
「怜……?」
食材を切るために手にしていた包丁をまな板の上に置く。
少し怯えながら小さな声で名前を呼ぶと、怜の手が私の身体を這うように移動した。
彼の右手が私の胸を、左手がエプロンの下に着ている短いスカートの中をゆっくりと探る。
「なぁ、杏香。今日会ってたのって男?」
怜が私の胸を揉みながら、耳元に唇を近づけてくる。
「だったら、帰りが遅くなったのも納得できるな」
怜がからかうような口調で言いながら、私の耳朶に唇を這わせて、強く吸った。