世界を濡らす、やまない雨


「今度、道木さんが時間あるときにごはんでも行こうよ」

SNSのIDをお互いに交換すると、角谷がスーツのポケットにスマホをいれながら言った。

その言葉に、私は彼を見上げて目を見開く。


「あ、別に変な意味じゃないよ。こないだみたいに、道木さんの会社の子達と集まってもいいし」

角谷は焦ったように顔の前で手の平を振りながら、耳を赤くさせていた。


会社の子達も……

私はこの前の合コンで、前に座る角谷が私に何か話しかけるたびにこちらを睨んでいた有里の顔を思い出しながら頷いた。


もっともあのときは、前に座っているのが彼だとは気付いていなかったけれど……


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