世界を濡らす、やまない雨


私が頷くのを確認した角谷は、目尻を下げて嬉しそうに笑う。


私達はお互いにもう一度「さよなら」を言うと、今度こそお互いが乗る電車のホームへと歩き出した。


少し歩いたところで何となしに振り返ると、プラットホームへと続く階段を颯爽と上っていく角谷の背中が見えた。


彼の背中を見つめながら、私はまた高校三年生の秋に吹き抜けていったあの風を思い出していた。


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