長い夜の甘い罠【完】
七、悲しい記憶-過去②-
―――十年前の春―――
中学校二年になったばかりの始業式が終わり、急ぎ足で家へと向かって歩いた。
今日は弟である逞(たくま)の誕生日だから家族四人で、遊園地に行く予定。
遊びに行こうと友達に誘われたけど、それを断わり急いで帰る途中、花屋へと立ち寄った。
弟への誕生日プレゼントは買ってるんだけど、お母さんとお父さんには何も用意していないから花でも買って行こう。