長い夜の甘い罠【完】
暫くして、男のマンションの玄関口に着いた。家に帰宅させるって此処?貴方の帰りを待ってろって事?
「夜には戻る」
「ええ、分かったわ」
「美咲」
「…何?」
車から降りようとした刹那、名を呼ばれると共に腕を掴み引き寄せられ唇が重ねられた。
思いもよらないキスに驚きを隠せず、心拍数が上昇し鼓動が速く打ち付けられる。
「行って来るな」
「え、ええ、行ってらっしゃい」
やがて唇が離れれば男は笑み、私は車から降りて男を見送った。