長い夜の甘い罠【完】
「義務って何?誰かに頼まれてるって事?」
「…いや」
「違うなら何?」
「これ以上話すつもりはない」
「まさか、ボディーガードでも演じてるつもり?ヒーロー気取りに浸ってるの?」
「何とでも言え」
男は全く微動だにもせず、正面を向いたままハンドルを握っている。
何を考えているのか分からない。
こんな男は初めてよ。
義務って言っていたけれど、結局は世間体を気にしてるって事でしょう?