長い夜の甘い罠【完】
暫くして、賢二が部屋に来ると珈琲を用意して差し出す。
私も賢二の隣りで一緒に珈琲を飲む。
そう言えば、昨日はあの男が珈琲を煎れてくれたっけ。意外とあの珈琲美味しかった。
「美咲?」
「へ?な、何?」
「嫌…何か上の空って感じだな」
「そう?」
今私、あの男の事を考えてた?
どうしてあんな男の事を思い出すの。別にどうだって良いじゃない。
誰かに珈琲を煎れて貰うのは久し振りだったから、珍しいだけよね。