長い夜の甘い罠【完】
…――このまま久し振りに賢二の腕に抱かれる。
ここの所はあの男以外となかったから…たまには他の人に満たされたい。
キスの深みが増す中、うっすら目を開けば目の前にいる賢二を見た途端、反射的に賢二の胸元をドンッと押してしまった。
「…っ…ご、御免なさい」
「気分が乗らない?」
「…どうしたのかしら私」
「そんな時もあるさ」
賢二は私の頭をぽんぽん撫でながら微笑み、それ以上無理強いはしなかった。