長い夜の甘い罠【完】
それからどれくらいの時間が経ったのだろうか。夕方の五時、賢二を見送る為玄関へ出た矢先……―――。
タイミング悪く、そこには婚約者である隼人が立っていた。
「…えらく早かったのね」
「…仕事が早く片付いてな」
男は賢二を軽く見下ろしながらじっと見つめている。
賢二は空気を読んで察したのか、私へ視線を向けると手を挙げ去って行った。
これって修羅場になるの?
この男はいつも冷静だし、そんな事にはならないわよね?