星屑チョコレート【短】
ゆっくりと、足を踏み出す。


ヒールを少しだけ大袈裟に鳴らして、角を曲がった。


「「あっ……!」」


気まずそうに声を上げた後輩に釣られ、橋本君が顔だけで振り返った。


「あ、繭さん」


一瞬だけ目を見開いた彼が、いつものようにヘラリと笑う。


「もうすぐ部長が戻って来るから、休憩は程々にね?」


そんな橋本君と後輩達に笑みを向け、それだけ言ってその場から離れた。


「繭さん、待って下さい!」


後から付いて来る彼が、何か言いたげにあたしの顔を覗き込む。


「カッコイイですね、繭さん」


クスクスと笑う橋本君に、ほんの少しだけ笑みが零れた。


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