星屑チョコレート【短】
結局、退社ギリギリまで橋本君にしつこくチョコをねだられ、呆れながら帰宅した。


それでもうんざりした気分にならなかったのは、きっと昼間の彼の言葉のせい。


帰宅途中に寄ったコンビニで買った板チョコは、良くも悪くもめげない橋本君に絆(ホダ)されてしまったからで。


そこに変な意味は微塵も無いし、もちろんこの板チョコが形を変える事だって無い。


だって…


あたしは、甘い物もバレンタインも嫌いなのだから。


濃いめのブラックコーヒーの入ったマグカップを片手に椅子に腰を下ろすと、帰宅してからずっとテーブルに置いたままの板チョコが視界に入って、思わず小さな笑みが零れた――…。


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