星屑チョコレート【短】
「あたし、チョコもバレンタインも嫌いって言ったわよね?」


「はい」


「あなたの為に用意する訳がない、とも言わなかった?」


「言われましたよ」


「じゃあ、どうしてこんな事する訳?」


運転手が聞き耳を立てているのが何となくわかったけど、それに構わず橋本君に冷たい視線を送る。


「繭さん、本当はチョコ用意してくれてるでしょ?」


「は……?」


板チョコとは言え、昨日立ち寄ったコンビニで橋本君の事が頭に浮かんで手に取ったのは、紛れも無い事実。


それを渡すかどうかは別にしても、彼がどうしてそれを見透かしているのかがわからなくて、思わずあたしを見つめる瞳を真っ直ぐ見た。


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