星屑チョコレート【短】
「わかったわよ」


わざと呆れた表情を繕って、朝からバッグの底で出番を待っていた板チョコを出し、橋本君の目の前に突き付けた。


「あ、やっぱり。板チョコって所がまた繭さんらしいですね。でも、嬉しいです。ありがとうございます」


楽しげに笑う彼に、眉をしかめて口を開く。


「ほら、あげたんだからもういいでしょ?送ってくれなくていいから、降ろしてよ」


橋本君の告げた住所では、自分の家に帰る事が出来ない。


「そんな事したら、何の為にこんな小細工したかわからないじゃないですか。大体、もう家(ウチ)に着きましたよ」


それを理解して告げた言葉は、彼の柔らかい笑みに制されてしまった。


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