星屑チョコレート【短】
結局、橋本君の部屋に足を踏み入れたあたしは、意外と綺麗に片付いている部屋の一角にあるソファーに腰を下ろし、ため息を零した。


そもそもどうしてこうなったのかと、うなだれたくなる。


「繭さん、ハッピーバレンタイン」


そんなあたしの目の前に差し出されたのは、1センチサイズのチョコがたくさん入った手の平程の箱だった。


「……何よ、これ」


「バレンタインチョコです」


「だから、あたしはチョコもバレンタインも……」


「嫌いなんでしょ?知ってますよ」


「だったら……」


「でも、これは甘くないから大丈夫です。だから、騙されたと思って一つだけ食べてみて下さい」


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