星屑チョコレート【短】
眉をしかめるあたしの視界に入って来たのは、絆創膏だらけの大きな左手。


「……まさか手作り?」


「はい!」


そのあまりにも嬉しそうな人懐っこい笑顔に負けて、見るからにいびつで怪しげなチョコを一つ摘(ツマ)む。


それを恐る恐る口に運んで、咀嚼(ソシャク)した直後…


「甘っ……!」


思わず口元を手で押さえ、相変わらずニコニコと笑う顔を睨んだ。


言葉を発したいのに、あまりの甘さに吐き気が込み上げそうになる。


「はい、どうぞ」


それを見計らうように差し出されたマグカップからはコーヒーの香りが漂い、藁にも縋るような気持ちで受け取ったそれに口を付けた。


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