星屑チョコレート【短】
ここ数日、似たようなやり取りを何度も繰り返したにも拘(カカ)わらず、橋本君が諦めを見せる事は無い。


とてつもなく粘り強い彼にうんざりしつつ、パウダールームに向かう。


「あたしはバレンタインにチョコを作るような女じゃないし、第一あたしはバレンタインが嫌いなの」


「へ?どうして?」


「面倒臭いからよ。大体、営利目的の企業が掲げた広告に踊らされるなんて、バカみたいじゃない」


「そうですか?」


「そうよ。それに、あたし甘い物も嫌いなの。チョコなんて、匂いを嗅ぐだけで吐き気がする」


「えっ!?」


あからさまにショックを受けた橋本君に、止(トド)めの言葉を紡ぐ。


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