隣のぼーいふれんどサマ。
・・・
雅の唇が触れたのは、唇ではなかった。
あたしの右頬に、雅の唇が優しく触れた。
それに気がついて、目を開ける。
「雅・・・。」
「僕、口にするなんて言ってないでしょ。」
雅はそう言って、片頬で笑った。
・・・ムカつく~っ!!
あたしは最後の力を振り絞って、雅から離れた。
もうしばらく傘を差していなかったため、雨でビショビショに濡れてしまった。
鞄から、俊哉に貸してもらったタオルを取り出し、拭く。
「じゃあね。送ってくれて・・・応援してくれてありがと。気をつけて帰んなさいよ。」
タオルのついでに鍵を出して、家に入ろうとすると、雅があたしの手を掴んだ。
「和紗。」