隣のぼーいふれんどサマ。
その声に振り返ると、俊哉が立っていた。
「しゅ、俊哉っ!!?」
「と、遠野くんっ!!?」
雅とハモって俊哉の名前を呼ぶと、冷たい目が返って来た。
「イチャイチャするのは結構だけど、家でやれ。少なくとも俺の家の前ではやめろ。」
俊哉はそれだけを言うと、家に入ろうとした。
「あ、待って!!・・・遠野くん。和紗のこと、大切にするの?遠野くんの彼女なんでしょ。別れるの?」
「・・・俺には関係ない。勝手にしろ。」
俊哉が玄関の扉を閉め、鍵をかける音が聞こえた。
・・・関係ない?勝手にしろ?
「・・・ざ・・・いで・・。」
「和紗?」
あたしは今閉められたばかりの扉に拳を叩きつけ、叫んだ。
「ふざけないでよ!!な、何が“関係ない”よ!!・・・雅なんか嫌いなの!あたしが好きなのは俊哉だけだよ!急に冷たくしたのは謝る。でも、やっと答えが出た。あたしには俊哉以外に誰もいないの!!だから」
「何してるんですかっ!!」
誰かの声があたしの言葉を切った。
今朝聞いた声を、背中から浴びた。
振り返らなくてもわかる。
朝のあの女だ。