隣のぼーいふれんどサマ。
「何?エリカさんがどうしたの?!」
聖奈が驚いた顔で、あたしを覗き込んだ。
本当のことなんて言えないよ。
「聖奈。ごめん。・・・もう今日は疲れたよね。ご飯どうする?」
聖奈のその、栗色のふわふわなショートヘアを撫でた。
聖奈は不思議そうにあたしを見つめたけれど、すぐに何かを悟ったように笑顔で「あたし、カズちゃんの作る和食なら何でもいいな」と言った。
・・・話を変えた。
聖奈が来てくれたんだ。
今は俊哉のことも、謎の少女のことも忘れて、聖奈と一緒にいれる時間を楽しもう。
次の日、とりあえずあたしは学校に行こうと、聖奈はゴミ捨てを手伝うと、一緒に外へ出た。
・・運命の神様は、そうとう意地悪なお方なのだろう。
あたし達と同時に隣の家から、エリカさんが出てきたんだ。
エリカさんと聖奈はゴミを捨てる。
束の間の沈黙。
「エリカさん・・・ですよね。あたしのこと覚えてますか?」
口を開いたのは聖奈だった。
「えぇ。俊哉くんのいとこ・・・正確には血は繋がってないらしいけど。聖奈ちゃんだったわよね。」
癇に障るような言い草に、一瞬だけ聖奈の顔が引きつった。
「俊くん、いますよね。呼んできてもらえませんか。」
「嫌よ。」
食い気味の返事に、もっと聖奈の顔が引きつった。