隣のぼーいふれんどサマ。


俊哉に会いたい。


突然にもそんな衝動にかられる。


しばらく聞いていないその声で、「カズ」って呼んでほしいよ。


しばらく触れてないその暖かい手で、あたしに触れてほしいよ。


俺様な態度で「もうどこにも行かない。だからお前も俺の隣にいろ」って、微笑んでほしいよ。


「・・・カズちゃん・・・。」


隣で聖奈が不安そうにあたしを呼ぶ。


「聖奈。ごめんね。あたしやっぱり俊哉がいないとダメだ。」


「うん。」


「エリカさんが家を出たら、2階のベランダから俊哉の家に入り込む。」


そのとんでもない計画を口にしたときから、戻れないことは決まってしまった。


聖奈は目を丸くした後、優しく頷いてくれた。


そして学校に体調を崩したので休む、と嘘の連絡を入れ、雅にも本当のことを伝えるメールをした。


そして家でエリカさんが出ていく、その瞬間を待った。


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