隣のぼーいふれんどサマ。


あたし的には珍しい行動だけど、関係ない。


前に俊哉が言ってたっけ。


「好きなヤツにキスしたいのに、理由なんて要らないだろ」


その言葉、今ならすごく共感できる。


ゆっくりと唇を離すと、俊哉の長い睫毛が震える。


刹那、その茶色ががった、ぱっちりした瞳にあたしが映る。


「不法侵入。しかもいきなり襲うとか、お前も成長したな。」


久しぶりに会って第一声がこれですか!?


「ち、違・・・わないけど。っていうか嘘寝ですか!?」


「あれだけ大きな音出したら、起きるだろ。別に目つぶって寝転がってただけだし。勝手に嘘寝って解釈したのはお前だ。」


片頬で笑う俊哉は、いつもどおりの俊哉だ。


・・・やっと逢えた・・・。


今まで思いが全部一気にこみ上げてきて、涙が頬を伝った。


「何泣いてんの?」


苦笑する俊哉。


そうだよね。


俊哉にしてみれば、どうってことないもんね。


「涙止めてやろうか。」


そう言って俊哉は、あたしの口を塞いだ。


長いキスの後、あたしが呟く。


「まだ、何も言ってないんですけど。」


「ん?お前の返事聞くつもりなんてさらさらねぇよ。返事がどうであれキスしたいから、したんだからな。」


いつもの俺様で、ムカつくはずなのに、何故か微笑んでしまう。


本当にずるい人。


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