隣のぼーいふれんどサマ。



「カズ。」


俊哉の腕の中でまどろんでいると、俊哉の息が耳にかかった。


「何?」


「まだ恵梨香さんを納得できてない。だからまだ家から出れないんだ。」


・・・嘘・・・。


「じゃ、あたしが帰ったら、また会えないのっ!?」


俊哉は黙ってしまう。


だって、嫌だよ。


「俺だって嫌だよ。でもな、絶対に説得してみせる。俺はお前とずっと一緒にいたい。すぐにカズの家に帰るよ。」


いつになく優しい声の俊哉に言われては、何も言えなくなる。


「ん・・・。待ってるから、絶対帰ってきてね。」


「あぁ。絶対に・・・。」


そのとき、一階から鍵を開ける音が聞こえた。


「うわっ!!恵梨香さん帰って来た!!ほら帰れよ、カズ!」


ベッドから飛び起きると、すぐにベランダに出るが、しかし。


「しゅ、俊哉・・・。聖奈が窓の鍵かけちゃったみたい・・・。」


向こうに見えるあたしの部屋の窓は、完全に閉まっている。


「ま、マジかよ・・・。」


「どうしよう、俊哉。」


逡巡した後、決心したかのようにあたしを見つめた。


「仕方ないだろ。今言うよ。」


「え?!」


「ほら行くぞ。」


俊哉はあたしの手をとり、恵梨香さんがいる一階へと降りていった。
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