隣のぼーいふれんどサマ。


「カズ・・・?」


あたしは全身の力が無くなり、膝から崩れ落ちる。


その肩を俊哉が抱きとめた。


背中が痛いよ。


「あっ・・・あぁっ・・・・」


後ろで小さく喘ぐ恵梨香さん。


あたし、今どうなってるのかな?


俊哉に、どうしてもそんなことしてほしくなかったの。


それで、あたし・・・恵梨香さんの前に立って、向かってくる俊哉を抱きとめて、そのとき・・・


真後ろにあった、恵梨香さんの手の中の包丁が刺さったんだ。


だから背中が痛いんだね。


なんでだろ・・・苦しいや。


「カズ!しっかりしろって!!」


俊哉の声だ。


意識が遠のいていく。


・・・あたし、死ぬのかな?


やだな。まだ17歳だよ。やりたいこといっぱいあるもん。


外国に旅行に行って、いろんな美味しいもの食べて、結婚して、子供が出来て、お母さんになって、そのうちおばあちゃんになって・・・。


・・・ううん。


そんな遠い未来じゃなくていいの。


俊哉と一緒に暮らしていきたい。


ずっと、二人で。


それだけでいいんです。


だから、あたしはまだ・・・死ねない。

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