隣のぼーいふれんどサマ。
次第にピントが合ってきて、俊哉の顔がはっきりと見える。
あたしの左側に俊哉が座っている。
そしてあたしの右側にも、ある人。
あたしを優しい瞳で見つめるその姿は、全くと言っていいほど同じ。
その二人をあたしは知っている。
名前を呼ぼうとしたが、声が出ない。痛みが広がる。
「聞こえるか?俺のことわかるか?」
その質問に、頷きだけで答える。
「よし。じゃ先生呼んでくるな。」
そう言ってあたしの手を離し、駆けていく。
残ったあたしは、右側にいる人を見つめていた。
“・・・あたしのこと、俊哉と一緒に見守っていてくれたの?”
声が出ないから、心の中で訊く。
普通の人なら、それは絶対に届かないが、今はちゃんと届く。
右手を包みながら頷き、微笑む。
“ありがとう。まだこっちにいさせてくれて。ありがとう。智也お兄ちゃん。”
その瞬間、あたしの右手を包んでいた人が消えた。
・・・夢?
でも、まだ右手に温もりがしっかり残っている。
いるわけないのに、なのに・・・
自然と涙が零れ、また夢の中へと戻っていった。