隣のぼーいふれんどサマ。


それから、俊哉と先生達は今後について話すと言って、病室を出て行った。


ひとりになった。


そして思い出す。


さっきの夢を。


さっきも、俊哉が出ていって、それから・・・


あたしは誰かと会話した。


右手を包んでくれていた誰かと。


思い出せない。


俊哉じゃない、男の人の優しい手。


今でも感蝕が微妙に残っているのに、誰か思い出せない。


左手の感触も、ちゃんと残ってる。


熱がこもってて、あたしをこっちの世界に連れ戻してくれるような、力強い手。


俊哉の手。


あたしはその二人の手に、助けられたんだ。


手・・・?


「あっ・・・!!」


痛い。


また、いつもの変な頭痛・・・。


これは背中を刺されたせい?傷のせいなの?


痛い、痛いよ。


あまりの痛さに、目をつむる。


そして、また残像が脳内に刻み込まれていく。

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