隣のぼーいふれんどサマ。





少女が必死に手を伸ばしている。


奥でうなだれる男に向かって、必死に泣き叫び、手をのばす。


・・・これは、あのオレンジの・・・。


少女は何かを叫ぶ。


それは男の名前なのか、男がその度に反応し、声を出す。


しかしその声は少女を助けた男二人には、届かない。


少女がまた叫ぶ。そして男の方へ行こうとする。


その都度、男二人が少女を抱きかかえ、オレンジに向かうのを止める。


そこで気がついた。


取り残された男の前に、二人の大人。


一人は男性で、もう一人は女性だ。


これは、少女の両親?


この時点で、女性は全く意識がないように見える。


男性も、ほぼ意識がないような状態だ。


どんどん、その三人を囲むオレンジが強くなる。


・・・あ・・・


前に座る男性が、何かを呟いた。


それは声にならなくとも、あたしにはわかった。


その言葉が、その顔が、あたしの記憶に存在する一人の男とピッタリ重なった。


その瞬間・・・オレンジが爆発したかのように、視界を包んで・・・








< 162 / 205 >

この作品をシェア

pagetop